呼吸器内科

後期研修プログラム


診療部長 峯下昌道

理念・特徴

理念

呼吸器領域では感染症、アレルギー、喫煙等様々な原因により発症する多様な疾患を取り扱います。さらに近年の高齢化社会を反映して肺がんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎等による死亡数も上昇傾向にあり、一方呼吸器専門医は十分な数が確保しているとは言えない状況であり、呼吸器疾患の診療に携わる医師の育成が必要とされています。当科における後期臨床研修中にできるだけ多くの種類の呼吸器疾患を担当し、研修していただくとともに、呼吸器内科専門医をめざす先生には科をあげてサポートしたいと思います。

特徴

呼吸器内科病棟はチームリーダーの下に、2-3名の助教、任期付助教、大学院生がついて班を構成し、屋根瓦方式で患者の診察・指導を行う体制をとっています。初期臨床研修医、BSL病棟実習生(5・6年生)もこれらの班の中で診察に加わります。受け持つ疾患は多岐にわたりますが、とくに肺がん症例は増加しつつあり、診断のための気管支鏡検査、化学療法、放射線療法、気道狭窄のためのインターベンションなど、多数の症例を経験することができます。その他、COPDの急性増悪、間質性肺炎、気胸(難治性気胸にはEWSを用いた気管支塞栓術を実施しています)、気管支喘息、胸膜炎(胸腔鏡検査:年間10~20症例)、など呼吸器疾患のほぼすべてを網羅しています。特に当科が力を入れている気管支鏡(超音波を用いた最先端の手技は年間約200例実施しています)、呼吸器インターベンション(本邦の第一人者の宮澤特任教授が指導されます)では班の枠を超えて全体が協力して行っています。また昨年度より気管支喘息に対する気管支熱形成術を開始し、肺気腫に対する気管支鏡的肺容量減量術の治験にも参加、1例実施(日本で3例目)するなど、呼吸器インターベンションの分野では本邦でも最先端の治療を研修することができます。各班は定期的にカンファレンスを行うとともに、入院患者全員について病棟回診や症例検討会で診断、治療の方針の確認を行い、各々の症例に関する情報の共有を行います。

研修病院

呼吸器内科研修を希望する後期臨床研修は、大学病院、西部病院のいずれかで研修を行います。いずれの施設も日本呼吸器学会の認定施設に指定されています。

到達目標

A.将来呼吸器内科以外の専門医を目指す内科専修生の研修

一般目標

呼吸器疾患を有する患者を自ら受け持ち、内科学的診断・治療のアプローチを身につけることを目指します。一般医として、あるいは他科の専門医としても知っておく必要のある呼吸器疾患について自ら経験して初期対応ができるようになることを目指します。一般医、あるいは他科専門医が見ることの少ない疾患については、病棟のカンファレンス、上級医や同僚医師との知識・経験の分かち合いの中で学びます。肺がん末期などで死に至る患者やその家族といかに向き合い、患者の人格を尊重し、自己決定権を尊重した医療を行うかを学ぶことも貴重な体験となります。

行動目標

1) 呼吸器疾患患者を受け持ち、カンファレンス等でプレゼンテーションを行い、上級医とディスカッションする中で呼吸器内科学的アプローチについて学びます。
2) 肺炎、肺がん、気管支喘息、COPD、気胸などの代表的な呼吸器疾患について自ら受け持ち、これらの初期対応ができ、治療の全体像が理解できるようになることを目指します。
3) 呼吸器内科で汎用される手技について適応、禁忌、意義を述べることができるようになることを目指します。
4) 一般医としても経験しておくことが望ましい間質性肺炎、サルコイドーシス、肺血栓塞栓症、結核などについて、自ら受け持つか、あるいは病棟のカンファレンス、上級医や同僚医師との知識・経験の分かち合いの中で学びます。

B.将来呼吸器内科専門医を目指す内科専修生のための研修
研修は日本呼吸器学会の専門医制度カリキュラムに準拠して行われます。日本呼吸器学会の専門医制度は、国際的な視野に立って、呼吸器疾患を専攻する優れた医師を養成し、呼吸器医療の向上を図り、国民の健康、福祉に貢献することを目的としています。
初期臨床研修で各内科をローテートし、ある程度の臨床経験を積んでいるので、後期臨床研修はできるだけ長い期間、呼吸器内科で研修することが望まれます。
後期臨床研修期間に修得すべき技能として、総論としては呼吸器の形態、機能、病理生理、疫学、主要症状、身体所見、検査、治療ならびに呼吸不全などの知識と理解、また主要な検査についてはその技術の修得が要望されます。
各論としては、気道、肺疾患、胸膜疾患、横隔膜疾患、縦隔疾患その他といった各領域における疾患の知識と理解にとどまらず、重要疾患については症例の臨床的な経験が要求されます。具体的にはI.気道・肺疾患 1.感染症および炎症性疾患、2.COPD、3気管支・細気管支の疾患、4.アレルギー性疾患、5.特発性間質性肺炎、6.急性呼吸促迫症候群・急性肺損傷、7.薬剤・化学物質・放射線による肺障害、8.全身性疾患に伴う肺病変、9.じん肺症、10.肺循環障害、11.呼吸器新生物、12.呼吸調節障害、13.その他(比較的まれな肺疾患)、II.呼吸不全、III.胸膜疾患、IV.横隔膜疾患、V.縦隔疾患、VI.胸郭、胸壁の各疾患です。

認定医・専門医の取得(平成28年度)

今後の新内科専門医制度の状況により変更されることも予想されますが、現状では呼吸器学会専門医の受験資格は、日本内科学認定医取得の年を含めて日本呼吸器学会の学会会員歴を3年以上有するもので、日本内科学会認定内科医を資格取得した年度の4月より数え3年間以上、日本呼吸器学会認定施設において、所定の研修カリキュラムに従い呼吸器病学の臨床研修を行い、これを終了した者となっています。大学病院での研修者であれば、卒後3年で内科認定医の受験資格を得るので、呼吸器学会専門医の資格を最短で得るためには、卒後4年目からは呼吸器内科で研修する必要があります。

海外留学

海外留学を希望する者に対しては積極的に希望が叶うように調整します。これまでの留学先としては、ドイツ、ハイデルベルクのThoraxklinik at Heidelberg University、フランス、マルセイユのSt. Margarita Hospital、オランダ、グローニンゲンのUniversity Medical Center Groningenがあります。いずれも呼吸器インターベンションの盛んに行われている病院で、最近ではCOPDに対する気管支鏡的肺容量減量術等の最先端の治療法も行われており学ぶべきことが豊富な施設です。また、当科にはもう一人、ハワイ大学のJohn Beamis先生が客員教授として登録しておられます。


写真1:気管支鏡に関するカンファレンス風景。その日に行う症例の画像から検査の適応、標的とする気管支の確認などを行い、診断精度の向上を目指します。

写真2:気管支鏡風景。通常の気管支鏡(左図)に加えて蛍光気管支鏡、NBI、気管支腔内超音波、EBUS-TBNA、胸腔鏡(右図)など先進的技術を積極的に取り入れています。


写真3:呼吸器インターベンション。高度の気道狭窄の治療として、ステント留置、バルーン拡張、APC焼灼などを手術室で、硬性気管支鏡、軟性気管支鏡を併用して行っています(術者 宮澤輝臣先生)。


写真4:気管支熱形成術。重症難治性喘息患者に対して気道平滑筋に熱変性を与えることで喘息発作症状の緩和を図る治療で平成27年4月から保険診療が始まりました。写真は第一例目の治療風景(左)と処置中の内視鏡画像(左)です。

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呼吸器内科医局(内線3305)